歯が抜けてしまったら
歯が抜けてしまったとき、前歯が抜けた場合は見た目を気にしてすぐに治療をされる方が多いのですが、奥歯が抜けた場合は見た目もそこまで気にならず、とりあえず何とかなってしまい、すぐに治療をされない方がいらっしゃいます。
しかし歯は互いに支えあっており、抜けた個所の隣の歯は支えを失い、少しずつ倒れてきます。さらにその隣の歯も倒れてくる……というように、歯が1本抜けただけで口内全体のバランスが崩れてきてしまいます。
奥歯が1本抜けただけで、咬む力は約半分に落ちてしまうと言われています。
歯が抜けてしまっときは、必ずすぐに治療を受けることが必要です。
抜けた歯の治療方法
歯が抜けたときは「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の3つの治療方法があります。
それぞれにメリットとデメリットがあり、事前のカウンセリングでご説明させていただいた上で、患者さんのご希望に合う治療を行います。いずれの方法を選択された場合でも、高い処置技術を持つ歯科医と、豊富な知識と精密な加工技術を持つ歯科技工士により、最高の結果をもたらすよう治療にあたります。
入れ歯 | ブリッジ | インプラント | |
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治療方法 | 歯ぐきの上に人工歯を装着します。 比較的簡単な治療で済みます。 |
抜けた箇所の左右にある歯を支えにして、人工歯を装着します。 支えになる歯を削る必要があります。 |
骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着します。 手術(歯を抜くのと同程度のもの)が必要です。 |
咬む力 | 天然の歯と比べて、 部分入れ歯なら30~40%程度 総入れ歯なら10~20%程度 硬いものはあまり咬むことができません。 |
天然の歯の60%程度(ブリッジをかける歯の状態によります) 入れ歯よりもしっかりと咬むことができます。 |
咬む力は天然の歯とほぼ同じです。 歯根が固定されているため、天然の歯と同じようにしっかりと咬むことができます。 |
装着感 | 咬んだり話したりするときに違和感があります。 | 発音がしにくい場合があります。 | 天然の歯とほぼ同じで、つけている感覚がほとんどありません。 |
お手入れ | 毎日取り外して洗浄します。 | 取り付けた歯の周囲は特にしっかりと磨く必要があります。歯の下部の隙間も歯間ブラシなどで磨きます。 | ご自宅では通常通りの歯みがきで大丈夫です。ただし定期的なメンテナンスには必ずいらしてください。 |
耐用年数 | 約5~6年 歯ぐきがやせるなど、合わなくなっていくこともあります。 |
約7~8年 顎の骨のやせかたなどにより変わります。 |
10年~半永久的 きちんとメンテナンスをすれば、一生使うこともできます。 |
保険適用 | 保険適用のものと、適用外のものがあります。 | 保険適用のものと、適用外のものがあります。 | 保険適用外です。他の方法と比べると、費用が高額になります。 |
入れ歯
抜けてしまった隣の歯を土台としてバネをかけて装着する「部分入れ歯」と、歯ぐき全体を覆うように装着する「総入れ歯」があります。
3つの治療法の中では比較的治療が簡単で安価になりますが、違和感が強く、咬む力が弱いため、硬いものを食べることが難しくなりますので、当院ではそれらのデメリット考慮し、できるだけ違和感の少ないよう薄く作っています。
保険適用の入れ歯の他にも、違和感の少ない素材のスマートデンチャーという入れ歯を取り扱っております。
弾力性の高い素材を使用しており、金属バネを使わないため金属アレルギーの心配もなく、残った歯を痛めることが少なくなります。
ブリッジ
ブリッジは抜けてしまった箇所の隣の歯を支えにして、人工の歯を装着します。
入れ歯に比べてよく咬むことができ、固定式なので違和感も少ないです。
ブリッジを固定するために支えとなる歯を削る必要があり、支えの歯には負担がかかります。
インプラント
インプラントはチタン製の土台を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着します。チタンは顎の骨と結合するため、天然の歯と変わらない安定感があり、硬いものもしっかりかむことができます。
きちんとメンテナンスに通っていただき、歯周病にならない口内環境を維持することで、自分の歯と同じ感覚で「第二の永久歯」として長く使っていただくことができます。
インプラント治療は保険外となり、手術が必要となります。
手術と聞くと不安に感じる方もいらっしゃると思いますが、インプラントは技術が生まれてから50年以上経っている、確立された治療法です。
当院ではマイクロCTで精密な検査をした上で綿密に治療計画を立てます。施術を行う歯科医は長年インプラント治療を行っており、多くの経験と知識・技術を持っています。手術は局部麻酔下で無痛治療を行い、ご希望があれば、セデーション(静脈内沈静法)という方法で眠っている間に手術を行うことも可能です。
他の治療法と同様にメンテナンスを怠ると歯周病のリスクが高くなます。そうなると口内環境の悪化だけでなくインプラントの寿命も短くなってしまうため、治療後はきちんとメンテナンスに通っていただくことが大切です。